任天堂のWii2日発売 年末商戦に次世代機そろう

任天堂は2日、新型の家庭用ゲーム機「Wii(ウィー)」を発売する。先行発売した米国では品切れが続出し、国内でもインターネットの競売サイトで予約引換券が出回るなど前評判は高い。これでソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)、マイクロソフトと合わせ、ゲーム機大手3社の次世代機が出そろい、国内の年末商戦で激突する。

 Wiiは、コントローラーをテニスのラケットのように振ると画面上でボールを打てるといったように、テレビゲームになじみのない人でも操作しやすいことが特徴。希望小売価格は2万5000円で、16本のゲームソフトも同時発売される。

 一方、これまで家庭用ゲーム機で圧倒的シェアを占めてきたSCEが11月発売した「プレイステーション3(PS3)」は、細密で迫力のある映像など機能の高さが売り物で、低価格機は4万9980円。生産の遅れから初回出荷は約10万台にとどまったが、年内には100万台を見込む。

 またオンラインゲームに強いマイクロソフトは、昨年発売した「Xbox360」の低価格機を2万9800円で11月に売り出した。

 注目されるのは、従来の高機能競争と一線を画して手軽さや親しみやすさを前面に打ち出したWiiが、どこまで幅広い層に受け入れられるかだ。携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」の爆発的なヒットは、「脳を鍛える」や仮想の犬を育てるといった、女性や中高年にも親しめるゲームソフトの話題が口コミで広がったのがきっかけだった。

 Wiiについても、幅広い年齢層が一緒に楽しめるゲームソフトを継続して投入し続けられるかどうかが普及の鍵とみられている。

 任天堂がより広い層を意識する背景には、消費者が携帯電話やインターネットにより多くの時間を割くようになり、国内ゲーム市場の頭打ち状態が続いたことへの強い危機感がある。

 「戦う相手はライバル社ではなく消費者の無関心」(岩田聡・任天堂社長)の言葉通り、Wiiは「家族全員に受け入れられるゲーム」を目指し、省電力や小型化にも力を入れた。

 ゲーム雑誌出版社エンターブレインの浜村弘一社長は「WiiとPS3は異なるユーザー層をターゲットにしており、競合というよりも市場全体の拡大につながる」とみており、従来の愛好者の枠を超えてゲーム人口のすそ野が広がることに期待している。

(共同)

東京新聞 - 2006年12月1日